+― disclose one's true intention ―+ |
触れ合えば触れ合うほどに、心が騒ぎ意識は疼く―― 微かに目を開けば彼女の顔がそこに在った。 その一瞬、意識が現実へと引き戻された『これ以上は進んではいけないと』。 自分から求める事を止め、掌からの顔を放した。 柔らかいランプの灯に照らされた彼女の顔、離れて明瞭になるその顔立ちにただ目が離せなかった。 口付けしていた事を表すようにうっすら開いている唇、その余韻に浸っている妖艶なまでの瞳。彼女の手はバッシュの首からは離れずもう一度求めるように引き寄せてゆく。 しかし、それを制するように名前を呼びその肩を掴み動きを止める。 「・・」 己の心臓は高鳴り自我を失いそうにあるけれど必死で理性を保とう目線を逸らした。 これ以上はもう駄目だ――― 「部屋に戻ったほうがいい・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 黙ったままの彼女がどんな顔をしているか分からない、知りたいが見ればきっとどうしようもなくなる。 「・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・」 「嫌だって言って。。。。拒絶してよ。。。そうじゃないと分からない」 「・・・・・っ」 「ねぇ。。。。言って、バッシュ。どうして止めるの?」 私は理性の前で止まってしまうくらいでしか貴方の心に存在していない? そこまでは必要は無い?こんな繋がりは強い貴方に必要ない? そっとの手がバッシュの首元から離れた。暖かさが無くなったそこはまるで削られてしまったかのようで― 自分に触れている彼女の身体はゆっくりと遠ざかり、肩もそして足も離れていった。 「・・・・おやすみなさい・・・」 消えてしまいそうなほど小さな言葉にハッとし顔を上げてしまう。 合ってしまった目線に返される小さな笑顔― 「大好きよ、、、バッシュ」 そう言って身を返して歩き出した。 ガタンッと音を立てて倒れた椅子、揺れている机。 「―!!」 余裕など無い、ただ、、、、そうするしかなくて― 無意識で彼女を強く己の胸に抱きとめる。背を包むようにその肩を交差させた手で掴む。きっと自分の早い脈拍は相手に知られているだろう。 彼女の髪にそっと唇を落とし、次はそれが唇だとわかるほど強く押し付け息を漏らした。 強くなってしまう腕の力をどうする事もできずその身体を抱きしめる。折れてしまいそうだ、そう思っているのに衝動が心を押す― 艶やかな髪をなぞる様に唇でそっと下へとさがり、の耳元に近づいて口付けると彼女の身体が強張り反応していた。 「・・・」 「―ッ」 ゾクゾクと痺れる身体、声にならない痛みがを支配していく。それから逃れようと首を振るが腕に繋ぎとめられ、バッシュの唇が容易く耳へと触れた。 「・・・・っん・・・・」 触れているだけなのに反応する彼女、それをもう一度みたいと思った時点で理性の欠片など無く思うがままに身体は動く。耳を優しく甘噛みしてみればバッシュの腕を取り払おうとしている彼女の手の力が強まった。解こうとするのではなくそれに耐えようとして。 「・・・好きだ」 そういって耳に舌を這わせたバッシュ。その告白と行動にの足はバランスを崩してしまう。しかし彼の腕がそれを支え、しゃがみこむ様に前に伏せた彼女を軽々と抱きかかえ、そっと寝台の上へと降ろした。 俯いて顔を上げないのはきっと顔が赤いせいだろう――そう思った。 彼女の弱点を見つけたと、またその場所に近寄り触れてみれば顔を上げてみせる。 しかし、予想に反して見つめるその顔は今にも泣きそうで、悲しさを漂わせていた。。。。 そして真っ直ぐにバッシュに向き合い口を噤ぎ小さく震えるように息を吐く。 その顔にそっと伸ばした手を避けるように首を横に向け、苦笑いを浮かべ自傷気味に笑ってみせた彼女― 「私って・・・・・・・嫌な奴・・」 「・・・・・?」 そして、もう一度笑った。 「いつもバッシュの同情を誘うようなことばかりして・・・」 一体何を言っているんだ君は― 「俺に・・・・・同情?」 「今までもそう、、、私がバッシュの邪魔をして足を引っ張っても、いつも優しく接してくれる」 「、俺は―」 「あなたが思ってるほど私はいい人間じゃない!、、、いくら強がって言葉を口にしても・・・ッ・・本当は!」 シーツを掴む彼女の手は小さく震えていて、見つめている瞳は苦しそうに歪む。 「本当は・・・・・・・不安でしかたないっ・・・あなたみたいに・・強く、なれなくて・・」 部屋に入ってきた時の強さは無く弱々しく消えていった語尾。 彼女の勇気ある告白が俺の心のドアを叩く― 「―・・・いつもそうだな。。。。。。君のその顔を見るたび気付かされる。 そうさせているのが自分だと。」 深く息を吸いそれを吐き出すように言葉を続けた。 「俺はどこかで自分に歯止めをかけて自分を守ろうとする。への気持ちに気付いた時も今も・・・俺はそうすることで君に許しを請うていたんだ、そうしても良いんだと。。。酷い事をしているのも、そうありたいと強く望んでいるのは俺自身なのに」 今度はバッシュが自分の告白に小さく笑ってを見つめる。 だから言っただろう。 自分を繕う事で精一杯でそこから崩れるのは容易いんだ。だが―---そうさせたのは他でもなく、君だから。それすら彼女のせいにして君に触れたいと望む俺は誰よりも欲深い― そしてその逃げ道は、『傷つけてしまうかもしれない』と答えた俺の言葉に返された、『試してみればいい』というの言葉。 変わってゆく彼の目つきには自分の背筋がゾクリと震えているのに気付く。 「・・・バッシュ・・・」 「・・・・・・俺は同情で人は抱けない」 首裏を擡げられグイッと強く自分の方に引き寄せる。 「―それに、、、今までこんなに誰かを『欲しい』と思ったのも初めてだ」 「バッ・・―」 遮られる声、強く求め呼吸をする時だけに僅かに離れるだけの唇。 舌先が触れ合えばそれを求めて、角度を変えてはそれを欲した。長く続く口づけに息が上がっていき、それを整えようと離れても追いかけてくる彼の唇― 後ろに押されるようにの身体が自然と傾いてゆく、支えようと手を後ろに持っていこうとするがそれよりも先に彼の手が背へと回され口付けたまま寝台へと倒れこむ。 「・・・・んっ・・・」 彼女の唇から僅かに離れてもう一度口付けた。そしてゆっくりと背に回した手を動かし身体のラインをなぞるとピクリと動いたの身体、手が動けば彼女の口元は小さく声を出し始めた。手は動かしたままでバッシュは彼女の顎のラインにそっていき耳へとたどり着き、さっきのように耳朶を噛んでみせる。 「・・・ッ・・・・はぁ」 柔らかい吐息を漏らすに刺激されるように舌で首筋を辿り下に向かい鎖骨に口付けを落とした。それと反対に上に伸ばされる掌は彼女の胸元に触れる。 「・・・ぁ」 「・・・」 衣服の上からでも分かるほどに柔らかい膨らみ、大きな手にそっと力が込めてゆく。 同時に白い首筋に吸い付き、そしてその後を舌でなぞる。 「ぅん。。。ハァッ・・!」 彼女の出す声に背中が震え、眉を顰めながらも熱を宿した瞳が俺を見つめている。 それに煽られて胸に触れる手での服を脱がしにかかり、平衡しておりてゆく唇に彼女の身体は反応していた。 人の温もりはこんなにも心を締め付けるものだっただろうか? 求めるように露になった白い肌とその膨らみに手を滑らせ指先が埋まってしまうほどの柔らかさを貪るように愛撫した。 「ぅん。。。。。はぁ、あぁッ・・!」 声を自分の手で押さえ込もうとしているがそれでも漏れている声が余計に熱を上げてゆく。優しくそして時に強くし、相手を探り自分の欲望を満たして、それでも足りず口に当てている彼女の手を掴み寝台に押さえ込み口付けを交わす。 そして胸を揉んでいた手を動かしはじめるとビクンとまた反応を示す身体。 は彼の指先が下りてゆくのを感じて動く方の手でそれを止めようとバッシュの手を掴んだ。 「。。。。わた、、、し」 「・・・・・・」 切なげな表情を見せる、しかし止められる訳も無くその手を一度捕まえ、もう片方の手で彼女の両方の腕を押さえる。抵抗するものは何も無く進んでゆくバッシュの指先に否が応でもの全神経がそれに集中してしまう― 「はぁ、、、ぁッ・・・!」 服を取り払い彼女の下着の上からそれに触れた。太腿に強張るように力が入り反応する身体と同時にから甘い声と吐息が漏れる。口で胸を愛撫し指先で彼女の秘められた箇所を擦るれば余計に強くなる声。 「あ、、、はぁ、、うんんッ!!、、、、バッ・・シュ」 「・・・・・」 途切れ途切れで名前を呼ぶ、その表情は魅惑的で挑発的に見えるほどで。 手を放してほしいのか腕を動かしてみせる彼女。解き放つとその手は真っ先にバッシュの首へと回されてゆく。 「好き・・」 濡れた瞳に欲望は駆られて動かしていた場所にあった布を取り払いそこに直接触れた。彼女の芯は熱くて滑る液が己の指を誘導させる。そして溢れる泉にゆっくりとその指を埋めてゆけばはより一層優美にその顔を歪ませた―。 「っふ、あああぁッ!」 弓なりに反り浮いた背、伸びていた片方の足先がシーツを強く引っ張り線を作る。 は自分の出したその声に驚いて慌てて口を塞ぐが目の前の彼にはもう聞えてしまっているのだ。 今まで見たことの無い男の顔で口元を上げバッシュが呟いた。 「・・・・いい声だな」 「!!」 顔を赤らめ横を向いた、それでも彼女の中に入った指を動かせばまた同じように甘い声をあげ身体をよがらせる。恥ずかしくも聞えてくる水音、そして普段の彼女からは想像もできないその姿、快楽に身体は反応し荒い呼吸のせいで口は微かに開いている。 そして、そうさせているのが自分だという優越感と相手を支配している独占欲。 もっとそれを味わいたくて、彼女から手を離し自らを纏う服を脱ぎ去りの頭をなで優しく口付けて、その瞳を見つめる。 自分を保つのも精一杯できっと欲望をむき出しにする事を承諾してとしいと言うように言葉を告げた。 「、、、君の中に入りたい」 言葉の代わりに返ってきたのは首に回す腕の力― 今度は彼女の中心に己をあてゆっくりとそこに欲望を沈めてゆく。 震える身体、熱い彼女の中に入っていく感覚に意識が飛びそうになる。 動くたびに増えてゆく痺れる程の快楽がバッシュを襲い、彼女の声がそれを増してゆく。 「んッぅ、ッ!!」 「ッ・・・」 「はぁ、、ぁっ!!、、ッ、、、」 身体を震わせ目を強く瞑る、その瞳からは涙が滲みそれを拭おうとそっと頬に触れる。 「大丈夫か・・?」 「・・っ平、気。。。だから止めないで」 痛みと反比例し満たされる心。涙の跡に優しくキスをしてくれるその唇に自分のそれを重ねた。 「貴方をもっと感じたい・・」 そう告げ手に力を込めると、バッシュがゆっくりと身体を動かし奥へと分け入ってゆく。 腰を引きまた奥へ、何度も繰り返される行為。 徐々にの口からは甘く溶けそうな位に熱を帯びる喘ぎ声へと変わっていった。 「ぁ、はぁ、あぁ!・・んぁああッ!!あぁッ・・・」 薄れてしまいそうな意識の中でバッシュはその声を塞ぐかのように自分の唇を押し当てる。 「―・・聞えてしまうぞ」 「ぅ。。はぁ、、ごめんなさい、、だっ・・・て・・出ちゃう」 「君のその声は、、俺だけのものだからな。。。。」 そう言って唇を塞ぎ、また求めるように彼女の中へ入り快楽に溺れる。 入り乱れてしまう呼吸も心も止められず、求め続ければの手に一層強く力が込められた。 そして迫る何かから逃れようと必死に声を切れ切れに紡ぐ。 「ぁあ!・・バッ、シュ、、ぁああッ!!ダメ、ッわた・・しっ―」 「・・構わない・・そのまま、俺と・・・」 一緒に同じ場所に堕ちていけばいい−−− 「ぅん、ぁああッッー!」 「・・・ぅっ・・・くっ!ッ」 直後、開放される熱と共に全身を駆ける愛しさに深く唇を重ね合わせた――― 柔らかな灯に包まれながら二人で一つのベッドに身を寄せ合わせながら相手の顔を見つめるのに・・・ 「どう、したの・・・・?」 「いや、、、何でもない」 「目を合わせてくれないでそんな事いっても駄目よ」 「本当に、、、問題はないんだ」 言葉すらあやふやで今度は自分の手で顔を隠す。 それを強引に解き、見据えようと自分の体を彼の上に乗せるが強引にひっくり返され、バッシュは首元に顔を埋めて動かない。 「っちょ・・・と!!私はただ顔が見たかっただけで―」 「だから困るんだ」 「・・・?」 「普通にしようと思っても、顔が勝手に綻ぶ・・・」 「え・・」 きょとんと反応を出来ていないにバッシュはぎゅっと抱きしめて、気持ちが滲むような声音で囁く。 「―・・・嬉しくて仕方ないんだ」 「ねぇ、、、、それなら尚更見せて欲しいの」 「・・・・・・・」 「もっと幸せになれるから、ね?」 促して彼の顔を見上げれば今度は彼女が顔を綻ばせ、つられるようにまたバッシュも笑みを浮かべた。 「好きすぎて困ってしまうわ。。。。どうしてくれるの?」 「それは俺も同じだ」 「言葉も好きだけじゃ足りない位なの」 「俺もそう思っていた」 「一緒?」 「ああ」 「なら・・・・」 同時に言って。そうすれば伝わる想いもきっと二人分になって互いに届くはず― 唇を重ねて抱きしめて、お互いの耳元でそっと強く囁けば震える心に涙が出そうになった。 「愛してる」 そう貴方に言える程、強くなれたから―そしてこれからもっと強くなれる貴方の為に― END |